超多忙期


転職と同時に付き合いを始めたものの、私の仕事が忙しすぎて平日は全く何もできなくなっていた。帰宅はだいたい22時くらい。その後二人で飲んで翌朝5時半起床。いろんな意味でクタクタになっていた。



彼は自分で事業を興したものの軌道に載っていなかった。収入もなかっただろうと思う。家にいることが多かった。
それを見ていてあのダメ男(甘ったれ)を思い出すことがあった。この人もそんな感じなのだろうか・・・。もし同じなら、一緒にいていいのだろうか?
お金の相談をされたこともあった。



でも、信じることにした。
もし万が一なことがあったら、その時に区切りをつけよう。と思った。



11月の終わりになったころ、彼からメールが来た。「前にいた会社で12月から働くことになったから」と。ホッとした。自営で成功することが夢だったのに、元に戻ることがどれだけ決心のいることなのか、分かっているようでも分かってあげられていなかったとも思え、自分にはそれを受け入れてあげる事しかしてあげる事がないような気がしていたけれど、前進するにはこれが一番いい方法だったのだ。



彼も仕事を始め、私も多忙で、二人の時間がどんどん少なくなっていった。これは良くないな・・・。そう思った私は転職を考え始めた。地元で仕事をして時間を作ろう。
地元での転職活動は簡単ではなかった。何しろ求人そのものが少ない。給料も信じられないくらい安い。「時は金なり」時間をお金で買う。こういうことだと思った。



私の仕事はピークになった。泊まりになる人もいた。
年末も近くなった土曜日。どうにも仕事が片付かなくて午前中だけ出勤することになった。そして午後からは地元での面接。
どう頑張っても時間はギリギリで、ちょうど休みだった彼に途中まで迎えに来てもらい、なんとか面接には間に合った。



が。



「お前、どうするつもりなんだ?こんな状態で付き合いを続けていけるのか?」
彼が怒ってしまった。
無理だと思うから転職活動を始めたのだけど、その決心が遅かったのだろう。彼の堪忍袋の尾が切れてしまったみたい。「だから転職活動始めたんだよ。もう少し待って」
翌日。退職したいと会社に申し出た。




12月に入り、私の周りも付き合いにいろいろ口を出してくるようになった。一緒に住んでいるのに、この先どうするつもりなのかと。




私は彼に「何年付き合ってもダメなときはダメだよね。それはお互い前回で分かっていると思う。だから私は今すぐにでも結婚しても構わないよ」と言ってあった。話がそれ以上に進まないのは、彼の仕事が定着していなかったからで、会社に行き始めて、初めてこの先のことが話題に出るようになった。



そして、12月の中頃。
私は彼の母親に会い、母親同士の顔合わせも済ませ、更に前進した。