前進

仕事は細かく忙しく、覚えることもたくさん。そして通勤時間が長いので更に疲れは増していた。でも店に原付を置いていることもあって、遅く帰っても店には顔を出していた。そして、店の営業時間が終わると毎日Sさんを含めた常連さんたちと遅くまで飲んでいることが多かった。



そして仕事が始まって1週間すぎ、初めての週末金曜日。Sさんはママの店ではないところで飲もうと誘ってくれた。いつものホルモン屋。「仕事、お疲れ様!」と仕事のことを色々話した。



しばらくお酒も進み仕事の事をひと通り話したあと、恋愛の話になった。Sさんのこれまでの恋愛のこと、前回の結婚のこと、自分の恋愛観のこと。たくさん聞いた。



そして。



「もし良かったら付き合わない?お互いいい年齢だから、もちろん結婚を考えながら。」



こんな形で切り出されるとは思っていなかったけれど、嬉しかったし、今までのひと月でSさんのことがとても気になり、好きになっていた。もちろん承諾した。この時を境にSさんは「彼氏」になった。



仕事が終わって帰ってきてからだったので時間は遅かった。自転車で来ていたSさんはそのまま家まで送ってくれた。私は歩きだったから家までの長い道のりを二人乗りしたり歩いたり。
そして家について帰ろうとしていたSさんを家に入れ、抱かれ、そのまま一晩過ごした。



翌朝早く「自転車をお袋に返さなきゃ」って、彼は帰っていった。